井川について

井川は静岡駅より車で2時間、南アルプスの麓に位置します。
産業は観光と農林・土木業になり、人口は400人程度の山間地域です。

くらし

日常生活

山間地にある井川ですが、町内には食料品店2店をはじめ、酒店や食料雑貨屋、雑貨屋などの生活用品店があります。
郵便局、支所、ガス・水道やガソリンスタンドのインフラ関連も揃っており、日常の生活に困ることはほとんどありません。

平日は井川内で過ごして、週末は街に足りないものを買い出しに行く「逆別荘ライフ」がイメージに近いです。

教育

井川には、こども園(3歳以上)と小中学校があります。
生徒数が少なく、子供1人1人に寄り添った教育を施してくれて、塾いらずなのが山間地の学校の良いところです。

街場の学校との交流行事もあるため、子供がのびのびと育てる環境が整っている場所です。

行政サービス

主だったもので井川支所と診療所があります。
井川支所では、基本的な役所の用事を済ますことが出来ますし、今はオンラインでの行政サービスも進んでいます。

診療所は、大きな怪我などは診れませんが、体調が悪い時に気軽に行くことが出来るので頼もしい存在です。
診療所で診れない病気や大けがなどは、救急車(井川常駐)かヘリにより、街場の病院に搬送となります。

休日の過ごし方

人により大きく分かれます。
買い出しに街に行く人、井川内でのんびり過ごす人。
椎茸の面倒をみたり、薪風呂の薪割りをする人もいます。

初めは、街の賑やかさが恋しいですが、だんだんと井川内で過ごす時間が増えて、気づいたら用事がないと街に降りないとなってくる人が多いです。

地域との関わり

自治会(町内会)

あまり馴染みの無い方もいるとは思いますが、井川では自治会活動が活発に行われています。

写真は自治会での一斉消毒の様子です。側溝を放置すると虫が湧いたり、においが発生してしまい生活環境が悪くなるため、年に一度掃除と消毒を行っています。
このように地域で支え合って、くらしやすい環境を維持していくのも自治会の役割のひとつです。


地区により、活動内容や雰囲気は異なりますが、6月の一斉消毒、7月の道草刈り、9月の体育大会が主な活動です。

お祭り

井川には神社が10社あり、それぞれお祭りを行っていますが、ここでは例として、本村地区でのお祭りを紹介します。

本村地区にはいくつかの自治会があり、4年に1度、井川神社でのお祭り当番を担当します。
内容は、年3回行う神社のお祭りでの清掃や祭事の用意・片付け、しめ縄編みなどです。

お祭の当日は、神事に参加するほか、隅で火を焚き、持ち寄ったものを焼いて食べたり、談笑して過ごします。

※各神社(自治会)でお祭りの内容や当番制度は異なります。

歴史・文化

険しい地形とご先祖様

井川は周囲を険しい山々に囲まれた土地です。 
そのため外部との交流が少なく、たくさんの種類の在来野菜が残っているなどエピソードには事欠きません。

さらに井川内でも、川向いの集落同士でご先祖様のルーツが異なることもあり、長野側は諏訪神社を通じて諏訪信仰との結びつきが強く。山梨側は採金・金山技術(武田氏関連?)にかかわる伝承が多く残されるなど、一言で「井川の文化」とまとめることはできない奥深さがあります。


※参考文献:静岡県教育員会編集「田代・小河内の民俗」 

焼畑

井川では、古くから焼畑により食料生産を行っていました。
焼畑は、焼き払った植物が肥料になるほか、土壌の中和や雑草・病害虫の抑制などを行うことができます。また休閑期を設けることで植生や地力の回復を行うため、自然を破壊しつくさずに、恵みをわけてもらえる農耕様式でした。


井川の場合は、火入れから3年程耕作した後、20~30年の休閑期を経て、再度の火入れを行うサイクルでした。昭和40年まで、井川各所で焼畑が行われており、現在でも祭礼用をメインに焼畑が行われています。

※参考文献:松本繁樹著 「焼畑雑考」 

在来作物

 四方を山に囲まれ交通の便が悪かった井川では、品種改良を免れ、代々受け継がれてきた在来作物があります。
この写真の在来作物はほんの一部で、「コウボウキビ」、「井川大蒜」、「井川オランド」(じゃがいも)、「井川ナス」などが写っています。

収量が少なく、井川内でもなかなか食べる機会に恵まれませんが、食べるとまた食べたくなるおいしい野菜です。

在来作物に興味がある方はこちら(外部サイト)をご覧ください。 

井川神楽

井川神楽の起源ははっきりしませんが、江戸時代の初期頃からと言われています。昔から当地に伝承したものと、明治・大正の頃、安倍川流域、川根地方、藁科方面から取り入れたもので構成されています。

確認できる一番古い記録は1617年のもので、400年余りの歴史があり、17の演目が伝承されています。

現在も、井川内の祭事では舞が奉納されているほか、静岡市内のイベント等にも出張するなど、多くの人たちが協力しながら保存活動を行っています。

観光

南アルプス

井川は3000m峰13座を擁する南アルプスのお膝元にあたり、古くから登山の拠点となっています。


特に南アルプス南部は、赤石岳・聖岳に代表される日本百名山が複数ある山域で、雷鳥(生息南限)や数々の高山植物などが生息する大変奥深い山域です。
ちなみに知る人ぞ知る南アルプス深南部は、井川の山々のことでもあります。

井川湖周辺

 井川湖は昭和32年に完成した井川ダム(日本発の中空式重力ダム)の建設に伴い誕生しました。

周辺にはトロッコ列車で有名な大井川鉄道井川駅、ダム建設時の線路跡を散策する廃線小路、遊覧コースを備えた井川湖渡船などの観光スポットが整備されています。
時が止まったようなレトロな雰囲気を楽しむことができます。

紅葉

井川は紅葉が綺麗なことでも有名です。
集落の近くも綺麗なのですが、井川の少し奥、畑薙ダム付近の紅葉は特に有名で毎年多くの観光客が訪れます。

南アルプスの麓、真っ赤な山々と青緑色の大井川が創る景色は、一度見るとあなたの心をがっしり掴みます。

温泉

古くから井川では温泉が湧出して、地域で利用してきました。
現在でも、井川の少し奥で温泉施設が営業しています。

泉質はアルカリ泉で優しいお湯です。夏場は登山者が、秋は紅葉狩りの人たちが、旅で疲れた体を癒しに訪れます。